• 陽射しの心地よい昼下がりやそよぐ風、鳥のさえずりに耳を澄ます。四季の移ろいを感じながら過ごす、心地いい時間。何気ないけれど人生に大切なのは、そんな自然とともにある豊かさなのではないでしょうか。冬場雪に閉ざされてしまう地域でも、四季を通じて自然とともにあり、庭時間を楽しめる。眺めるだけでなく、土いじりをしたり、葉に触れたり。貴重な晴れの日に日光浴を楽しんだり。そんな暮らしを、雪国の冬でもかなえられないか。
• そんな想いから「オアシス」はスタートしました。「オアシス」とは、憩いの場。砂漠の中にぽつんと存在して、人々に潤いをもたらせてくれる光り輝く水辺のように、周囲は深い雪に覆われているけれど、庭と過ごす、庭と遊べる憩いと安らぎの場がある。建物自体が、一つの「オアシス」。そんな意味合いを持たせています。
• ここでは、「外を取り込む」ことが、自然を身近に感じる空間づくりのポイント。建物の内部に引き込むように中庭を設けることで、
  雪国の冬でも、庭の自然とともにある豊かな暮らしをかなえます。

• 敷地内に入り、屋根のある長い通路を、中庭のテラスを回り込むようにゆっくりと進みます。途中別棟のSOHOスペースを右手に、アウターリビングへとつながる螺旋階段を左手に見ながら、ようやく玄関に到着。扉を開けても回廊は続き、靴を履いたままリビング前の内土間まで歩を進めることができます。
• いま自分は家のソトにいるのか、ウチにいるのか、曖昧な空間が奥のリビングまで続き、境界線がない不思議な感覚に包まれます。昔の日本家屋でよく見かける縁側のように、ウチとソト両方につながる「中間領域」のような楽しさ。吹抜けを設けた内土間は高さが あり、植樹帯を引き込んでいるので、リビングにいながらにしてソトを感じることができます。
• ウチとソトが入り混じる曖昧さが、なんとも言えない心地よさに通じる。大胆な空間構成が、想像以上の開放感と楽しさをもたらします。

吹抜けを設けた内土間に対して、リビングの天井をグッと下げ、落ち着き感と開放感を対比させました。同じソトにつながる空間の表情の違いが楽しい。